需要を攻略する

まずは需要について。

需要は、人間の根源的な欲求に根ざしている。
強くなりたい、金持ちになりたい、有名になりたい、役に立ちたい、問題を解決したい、等々である。

例えば「強くなりたい」のであれば、レベルを上げたい。ドーピングアイテムが必要だから、黄金の釣り竿が欲しい、賢者の箱が欲しいなど。
同様に、素晴らしい装備品が欲しい。特別な効果を持ったIM品で身を固めたい。実に人間らしい欲求だ。


「金持ちになりたい」なら、ひたすら狩りをして蓄財するもよし、国を売買出来るほどになれば相当の巨額を動かせるだろう。
ある程度蓄財すると、アイテムの価格の変化により資産が増減するようになり、狩りでの稼ぎが誤差みたいになってしまう。その壁をどうやって破るか？ 己の才覚の見せ所だ。

「有名になりたい」のなら、君主、国守、新聞記者を目指すのもいいだろう。
あるいは、匠リストにさらっと名前が載っているのも実に格好いい。

「役に立ちたい」なら、大臣や守令、白十字隊、高レベルの匠。役割が明確に存在し、誰かの為に行動しやすい役職。
または、悪友と組んで国の乗っ取りに動くとか……実にスリリングだ。それも面白い。

「問題を解決したい」なら国守はうってつけだ。クエストを進めて新称号入手などもありだろう。
運営の季節イベントなどを皆で協力して解決するのもいい。MMORPGの醍醐味の一つと言えるだろう。




そして、どの辺りで「満足」するのかも考えなければならないだろう。
強くなる？レベル120なのか、130なのか、140なのか。新狩り場いければ満足なのか、PvPで誰か勝ちたい奴がいるのか。
レア武器逸品がどうしても欲しいのか、エンチャ10？属性3倍精霊？
一体どこで「需要」は「満ち足りる」のか？

これがどの程度なのかは、雰囲気などから判断するしかない場合も多々あります。
しかし、場合においては損益分岐点を考えることでどの程度か予想が付く場合もある。
例えば、召喚用の上級薬が単価20万Qとして、48分の狩りで1000個消費するような狩り場を考えてみる。
48分で薬代2億Q掛かる。もし、その狩り場でドロップ品が薬代にもならないようなら、恐らく行くことはないでしょう。
経験値効率などを理由に行くことがあったとしても、延々続けることは難しい。そりゃ、狩りに行けば行くほど資産が減るのだから当然だと。

このような損益分岐点が相場の壁になる場合があるので、考えてみると興味深い。
先の例だと、48分で4億Q稼げる狩り場なら、召喚用の上級薬が単価40万Qに値上がっても、損はしない。(儲けも出ないが、経験値稼ぎにはなる)
他の狩り場とも比較しなければならないが、こうなると召喚用の上級薬の相場がどれほど吊り上がっても、40万Q以上では売れないだろう……と予想が付く。




で……むしろ本題は仕様の方。↓続く

ex.仕様の問題点
現状では、需要が満たされすぎている。これが最大の問題点である。

どういうことかと言うと……、
新人さん以外は大体エンチャント＋10を持ってて、それより上がない。→満足
新しいペットを手に入れるより、以前のものを使い続けた方がレベル差補正が相まって強い。→満足
変身はステータスやらの微々たる違いで、新しいものに手を出さなくてもあまり変わらない。→満足
座布団は休息時間さえ貯まればOK。→満足(※ただし、ハロウィン座布団でミニゲーム＋10000点加算だと、皆欲しがったりする)
乗り物は皆大体持ってて、性能も似たり寄ったり……。→満足(※ただし、宇宙バイクで凍結効果！？ それなら凄く欲しい)
四つ葉のクローバーが安い……のは良いが、任期後までに消費しきれない。上級者はラッキークローバーが余ってる。→満足

大体、欲しいものは大体手元に揃っており、満ち足りていて……もう欲しいものは特にない……という現状をもって問題点と感じる。

このゲームにおいて、実質に際限のない需要を持つものは、アイテム・Qなどの資産ぐらいであろう。
古代の塔Ⅲアップデートで超絶ミラクルピコハン(エンチャント成功率＋100％)など入手出来るようになろうものなら、祝福の石の需要は大部分消えてしまう。
確かに超絶ミラクルピコハンは魅力的だが、「需要がなくなる」「容易く満たされてしまう」仕様には疑問を感じざるを得ない。

スキルについても、カンスト出来るものはカンストし、カンスト出来ないものは適当な辺りで落ち着き……が大部分。
製造は高スキルになるほど入手経験値が減少するので、頭打ちになりやすいからだ。

例えばこんな仕様が考えられる。
1.ステータスポイントを祝福の石と引き替えに購入出来る。(祝福の石100個でステータスポイント1つなど)
2.スキルポイントを祝福の石と引き替えに購入出来る。(祝福の石100個でスキルポイント1つなど)
3.四つ葉のクローバーに、ドロップ増加以外の効果を増やす。(製造経験値増加なら、匠もガンガン利用する。名品率2倍とかでも面白いだろう)
4.四つ葉のクローバーとラッキークローバーを原料に、黄金のクローバーを作成出来る。(実質、ドロップ＋100％のアイテムを2個同時に使えるのと同じ)
5.ペットの合成機能を実装する。(複数ペットの経験値・毘沙門・弁慶を統合出来る。更に合成回数に応じた強化など)
6.ペットを複数同時に召喚出来るようにする。(最大3体まで同時召喚出来るとかなら、既に育っているのを攻撃・育ってないのは待機で育成だけ進めるなどが出来る)

ちなみに、
1.と2.は祝福の石の需要を高めることで、国守の権限(国イベの実施)を高める作用を、
3.と4.は四つ葉のクローバーの需要を高めることで、君主の権限(四つ葉の受領権)を高める作用を、
5.と6.は運営がガチャを売りやすい状況へ向かう作用を、
それぞれ含めて考えている。


「強くなりたい」欲求には基本的に際限がない。それと祝福の石を絡めたら祝福の石の需要も際限がない……に限りなく近くなるだろう。
「金持ちになりたい」欲求には基本的に際限がない。四つ葉のクローバーとラッキークローバーが同時に使えるなら狩りにも熱が籠もるだろう。
そういった際限のない「需要」に根ざした原動力、それが経済には必要なのではないだろうか。
容易く満たされてしまう現状を打破する、どうしようもない人間のエゴイズム。筆者は、そういう人間らしさが大好きである。

（君主新聞第5期　需要を攻略するvol.1～vol.4）